皆さんこんにちは!パッシ部長の佐久間です。いよいよ今年も梅雨がやってきそうですね…ジメジメした空気や低気圧による頭痛、湿度が原因でのカビだったりと嫌な時期となりますが、過去のブログやインスタライブのアーカイブをご覧いただき乗り切ってくださいね^^v
さて、家づくりというと、間取り・デザイン・断熱・耐震に目が向きがちですが、実はそのすべてを支えているのが地盤です。
どれだけ耐震等級の高い家を建てても、その家を支える土地が弱ければ、建物が傾いたり、不同沈下と呼ばれる不具合につながる可能性があります。
だからこそ、家づくりでは建物を建てる前に、
「この土地は建物をしっかり支えられるのか?」
を確認することがとても大切です。
今回は建築地の土地の強さを調べる方法と、必要に応じて行う地盤改良・地業工事の種類、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
そもそも地盤調査とは?
地盤調査とは、建物を建てる土地の強さや地層の状態を調べるための調査です。
住宅の場合、建物の配置に合わせて数か所を調査し、地盤の硬さ・軟弱層の有無・支持層の深さなどを確認します。
この調査結果をもとに、
- ベタ基礎でよいのか
- 布基礎でよいのか
- 地盤改良が必要なのか
- どの改良方法が適しているのか
を判断していきます。
地盤改良は、軟弱地盤がある場合に、建物の重さを安全に地盤へ伝え、不同沈下を防ぐために行われる工事です。表層改良・柱状改良・鋼管杭など、地盤の状態に応じて方法が選ばれます。
建築地の土地の強さを調べる主な方法
1. スクリューウエイト貫入試験、SWS試験
住宅の地盤調査で最も一般的に使われているのが、スクリューウエイト貫入試験です。以前はスウェーデン式サウンディング試験とも呼ばれていました。
先端がスクリュー状になった鉄の棒を地面にねじ込み、どれくらいの重さや回転数で入っていくかを測定して、地盤の硬さを判断します。戸建て住宅では、建物の四隅と中央など、3〜5か所程度を調査することが多い方法です。
メリット
費用を抑えやすく、比較的短時間で調査できます。
小型の機械で調査できるため、住宅地や狭小地でも対応しやすいのが特徴です。
また、複数箇所を調べることで、敷地内の地盤のばらつきも確認しやすくなります。
デメリット
土を直接採取する調査ではないため、土質や地下水位の詳しい把握には限界があります。
また、地中に大きな石やガラがある場合、正確な調査が難しくなることもあります。硬い地層に当たると、それ以上深く調査できないケースもあります。
向いている土地
一般的な木造住宅や小規模建築物の地盤確認に向いています。
住宅建築では、まずこのSWS試験を行い、必要に応じて追加調査を検討することが多いです。
2. ボーリング調査、標準貫入試験
ボーリング調査は、地中に穴を掘りながら土を採取し、地層の構成や地盤の強さを詳しく調べる方法です。
標準貫入試験では、一定の重さのハンマーを落下させ、サンプラーが30cm貫入するまでの打撃回数を測定します。この数値をN値といい、地盤の強さを判断する重要な指標になります。
メリット
地層の構成、土質、地下水位、支持層の深さなどを詳しく把握できます。
SWS試験よりも情報量が多く、より精度の高い判断がしやすい調査です。
デメリット
費用が高くなりやすく、調査機械も大きくなるため、住宅地や狭い敷地では搬入が難しい場合があります。
また、SWS試験に比べると調査に時間がかかります。
向いている土地
重量のある建物、大きな建物、擁壁が関係する土地、造成地、深い軟弱層が疑われる土地などに向いています。
住宅でも、SWS試験だけでは判断が難しい場合には、ボーリング調査を併用することがあります。
3. 平板載荷試験
平板載荷試験は、地面に鉄板を置いて実際に荷重をかけ、その沈下量を測定することで、地盤の支持力を調べる方法です。
地盤に直接荷重をかけるため、表面付近の支持力を確認するには有効な調査です。
メリット
実際に地盤へ荷重をかけて確認できるため、表層部分の支持力を直接確認できます。
改良工事後の強度確認などにも使われることがあります。
デメリット
確認できるのは主に浅い範囲です。
深い位置に軟弱層がある場合、その影響を見落とす可能性があります。そのため、平板載荷試験だけで地盤全体を判断するのは危険で、SWS試験やボーリング調査と併用して判断する必要があります。
向いている土地
表層部分の支持力を確認したい場合や、改良後の確認、簡易建物、擁壁まわりの確認などで使われることがあります。
地盤改良の主な種類
地盤調査の結果、地盤が建物を支えるには不十分と判断された場合、地盤改良を行います。
地盤改良は、簡単にいうと
弱い地盤を補強して、建物の重さを安全に地盤へ伝える工事
です。
代表的な方法は次の通りです。
1. 表層改良工法
表層改良は、地表から比較的浅い部分の軟弱地盤を、セメント系固化材などと混ぜて固める方法です。
一般的には、軟弱層が浅い場合に採用されます。
メリット
比較的シンプルな工法で、工期も短く済みやすいです。
浅い軟弱地盤に対してはコストを抑えやすく、住宅でも採用されることがあります。
また、建物下全体を面的に固めるため、荷重を広く分散しやすいという特徴があります。
デメリット
深い軟弱層には対応しにくいです。
また、土質によっては固化材との相性が悪く、十分な強度が出にくい場合があります。
掘削土と固化材を混ぜるため、残土処分や施工時の粉じん、近隣への配慮も必要です。
向いているケース
軟弱層が浅い土地。
建物下の地盤を面的に補強したい場合。
比較的軽い木造住宅で、深い改良までは不要と判断される場合。
2. 柱状改良工法
柱状改良は、地中に円柱状の改良体をつくる方法です。
地盤にセメント系固化材を混ぜながら、柱のような固い部分を何本も作り、建物の重さを支えます。
住宅の地盤改良ではよく使われる工法の一つです。
メリット
表層改良より深い軟弱地盤にも対応できます。
建物の荷重を柱状の改良体で支えるため、安定した支持力を確保しやすいです。
比較的多くの住宅地盤で採用実績があり、施工方法としても一般的です。
デメリット
地中にセメント系の改良体が残るため、将来建て替えや土地売却をする際に、地中埋設物として扱われる可能性があります。
また、有機質土や腐植土など、固化材と相性の悪い土がある場合は、設計や施工に注意が必要です。SWS試験だけでは土質の詳細把握に限界があるため、必要に応じて追加調査を検討することもあります。
向いているケース
軟弱層がある程度深い土地。
表層改良では対応しきれないが、支持層が極端に深すぎない場合。
木造住宅でよく使われる一般的な改良方法です。
3. 鋼管杭工法
鋼管杭工法は、地中の硬い支持層まで鋼管の杭を打ち込み、その杭で建物を支える方法です。
軟弱地盤が深い場合や、しっかりした支持層まで建物荷重を伝えたい場合に使われます。
メリット
深い位置にある強固な支持層まで荷重を伝えられます。
支持層が明確な場合、信頼性の高い支持方法になります。
また、セメント系固化材を大量に使わないため、土質による固化不良のリスクは比較的少なくなります。
デメリット
費用が高くなりやすいです。
杭の長さや本数が増えると、工事費が大きく変わります。
また、施工時に振動や騒音が出る場合があるため、近隣環境への配慮も必要です。
向いているケース
軟弱層が深い土地。
支持層が深い位置にある土地。
盛土や造成地、河川・水路に近い土地など、地盤リスクが高い場合。
4. 砕石パイル工法
砕石パイル工法は、地中に砕石を柱状に締め固めて、砕石の柱で建物を支える方法です。
セメントではなく自然素材である砕石を使うため、近年注目されることも増えています。
メリット
セメント系固化材を使わないため、将来撤去が必要になりにくく、土地の資産価値に配慮しやすい工法です。
砕石は水を通しやすいため、地中の水圧を逃がす効果も期待されます。砕石パイルは、液状化対策として期待される場合もあります。
デメリット
すべての地盤に向いているわけではありません。
軟弱地盤が深すぎる場合や、地盤が極端に弱い場合には不向きなことがあります。
また、セメント系の改良より費用が高くなるケースもあり、施工できる業者も限られます。
向いているケース
環境負荷や将来の土地利用に配慮したい場合。
軟弱層が深すぎず、砕石による締固め効果が期待できる地盤。
5. 置換工法
置換工法は、弱い土を掘り取って、良質な土や砕石に入れ替える方法です。
浅い範囲に軟弱な土がある場合に使われます。
メリット
悪い土を取り除いて、良い材料に入れ替えるため、考え方がシンプルです。
浅い範囲であれば、比較的確実に地盤を改善できます。
デメリット
軟弱層が深い場合は、掘削量が多くなり、費用も残土処分も増えます。
地下水が高い土地では施工が難しくなることもあります。
向いているケース
表面近くに悪い土やガラ、埋戻し土がある場合。
浅い範囲だけを改善すればよい土地。
地業工事とは?地盤改良とは違うの?
ここで混同されやすいのが、地盤改良と地業工事です。
地盤改良は、弱い地盤そのものを補強する工事です。
一方、地業工事は、基礎の下に行う工事全般を指します。
たとえば、掘削後に砕石を敷いたり、転圧したり、捨てコンクリートを打ったりする工事が地業にあたります。基礎と地盤をつなぎ、建物の荷重を地盤へ均等に伝えるために必要な工事です。
地業工事の主な種類
1. 砕石地業
砕石地業は、基礎の下に砕石を敷き、ランマーなどでしっかり転圧する工事です。
住宅の基礎工事では非常に一般的です。
メリット
基礎下の地盤面を整え、荷重を伝えやすくします。
砕石を締め固めることで、基礎の下を安定させる役割があります。
また、比較的コストを抑えやすく、施工性も良いです。
デメリット
あくまで基礎下を整える工事であり、深い軟弱地盤を補強するものではありません。
地盤そのものが弱い場合は、砕石地業だけでは不十分です。
砕石地業は、比較的地盤が良好な場合に使われる地業であり、杭や地盤改良とは役割が異なります。
2. 割栗石地業
割栗石地業は、比較的大きめの石を敷き並べ、その上に砕石などを入れて締め固める方法です。
昔ながらの地業方法として使われてきました。
メリット
石をかみ合わせながら地盤を締め固めることで、基礎下を安定させます。
水はけの面でも有利になる場合があります。
デメリット
現在の住宅基礎では、砕石地業が一般的に使われることが多く、割栗石地業は採用される場面が限られます。
材料や施工精度によって仕上がりに差が出やすい点にも注意が必要です。
3. 捨てコンクリート
捨てコンクリートは、基礎の位置を正確に出したり、鉄筋や型枠を施工しやすくするために打つ薄いコンクリートです。
名前に「コンクリート」とつきますが、建物を支える構造体ではありません。
メリット
基礎の墨出しがしやすくなり、施工精度が上がります。
鉄筋や型枠の作業もしやすくなります。
デメリット
構造的に建物を支えるものではありません。
捨てコンクリートを打ったからといって、地盤が強くなるわけではない点に注意が必要です。
4. 防湿シート・防湿コンクリート
床下からの湿気を防ぐために、防湿シートや防湿コンクリートを施工することがあります。
メリット
床下の湿気対策になります。
木造住宅では、床下環境を良好に保つことが耐久性にもつながります。
デメリット
これも地盤を強くする工事ではありません。
湿気対策としての役割であり、地盤補強とは分けて考える必要があります。
地盤改良・地業工事で大切なこと
地盤改良や地業工事で大切なのは、
「どの工法が一番強いか」ではなく、「その土地に合っているか」
です。
たとえば、浅い軟弱層であれば表層改良が適しているかもしれません。
軟弱層が深ければ柱状改良や鋼管杭が必要になるかもしれません。
将来の土地利用や環境面を考えるなら、砕石パイル工法が選択肢になることもあります。
一方で、地盤が良好であれば、大きな改良工事は不要で、砕石地業など通常の基礎下地業で十分な場合もあります。
つまり、地盤は
「調査してみないとわからない」
のです。
まとめ:家の安心は、見えない地盤から始まる
家づくりでは、完成すると見えなくなる部分ほど大切です。
地盤もその一つです。
地盤調査を行うことで、その土地がどのような状態なのかを確認し、必要であれば適切な地盤改良を行います。
そして、基礎工事では砕石地業や捨てコンクリートなどを丁寧に施工し、建物の荷重をしっかり地盤へ伝えていきます。
地盤改良は、できれば費用をかけたくない部分かもしれません。
しかし、家を長く安心して暮らすためには、必要な場合にきちんと行うことがとても大切です。
大切なのは、
正しく調べて、正しく判断すること。
土地の強さを確認し、その土地に合った基礎・地盤計画を行うことが、安心できる家づくりの第一歩です。
NextDesignHomeパッシ部長 佐久間